電流センサの1つであるシャント抵抗式電流センサの実現方法として、高精度オペアンプを使用して構成する方法があります。その際にオペアンプが発振してしまったり、設計目標の検出精度が達成できない、外来ノイズの影響を低減できないなど、設計するうえでお困りではありませんか。

本稿では、高精度オペアンプを使ってローサイド、およびハイサイドのシャント抵抗式電流センサを設計する事例をわかりやすく説明します。

1. 電流センサの種類と特徴、なぜシャント抵抗式電流センサが使われるのか?

電流センサの種類と特徴

電流センサとは、回路に流れる電流を測定するセンサです。

電流センサにはさまざまな種類(シャント抵抗式、磁気式)があります。下図の様に検出する電流領域によって適したセンサの方式が異なります。
そのため各方式の特長を理解し、用途に合わせて電流センサを使用することが大切です。

電流センサの種類と特長

なぜシャント抵抗式電流センサが使われるのか?

シャント抵抗式電流センサは、低コストで電流を高精度に検出できるため、上記で説明した3つの電流センサの中で、最もよく使われているセンサです。 その為、数10A以下の電流を高精度に検出することが求められる自動車や産業機器などに搭載されているバッテリーの電流監視や、油圧アクチュエータを動かすソレノイドバルブの電流制御の用途で広く使われています。

 

2. シャント抵抗式電流センサで求められるアンプ(信号増幅回路)とは?

シャント抵抗式電流センサは、シャント抵抗とそこで発生する電圧降下を増幅するアンプ(信号増幅回路)とで構成されます。

シャント抵抗に数10A程度の電流を流すと電力損失や発熱が問題となるため、抵抗値の小さなシャント抵抗が使われます。これにより、シャント抵抗で発生する電圧降下が小さくなることから、微小な入力信号を精度良く増幅するアンプが必要となります。

シャント抵抗1mΩを使い10Aの電流を±1%の精度で検出する場合

信号増幅回路

±1%×10mV=±100μV
⇒±100μVの精度で信号増幅するアンプが必要

シャント抵抗式電流センサで使われるアンプ

シャント抵抗式電流センサで使われるアンプには、大きく分けると高精度オペアンプと電流センスアンプがあります。

電流センサの構成例

アンプの種類

電流センスアンプは、ゲインを設定する抵抗を内蔵しており、「設計工数を削減できる」「部品点数を削減できる」メリットがありますが、設定可能なゲインがある程度決められているなど、高精度化に対して制約が発生する場合があります。

一方で高精度オペアンプは、オペアンプ単体のICでありゲインを設定する為の周辺部品(抵抗)を組合せることでアンプとして機能します。高精度オペアンプと周辺部品を組み合わせて電流センサを構成するメリットは以下の通りです。

  1. 理想的なゲインとなるように抵抗値を設定し、アンプを設計することで電流センサの更なる高精度化が可能となる
  2. 信号増幅機能とフィルタ機能を併せ持つようにアンプを設計することで、ノイズ耐性の高い電流センサの実現が可能となる。

 

3. 高精度オペアンプの種類とゼロドリフトアンプのメリット

入力オフセット電圧は入力信号と共に増幅されるため、入力オフセット電圧が大きいと、増幅した信号の精度が大きく低下します。そのため、微小信号を高精度に増幅することが要求される電流センサなどの用途には、入力オフセット電圧やその温度ドリフトが小さい高精度オペアンプが広く用いられています。

オペアンプの入力オフセット電圧

高精度オペアンプの種類

高精度オペアンプは、入力オフセット電圧の補正方法によって2種類に分類できます。

1. ゼロドリフトではない一般的な高精度オペアンプ

入力オフセット電圧を自動補正しないオペアンプです。このオペアンプは工場出荷時に製品1つ1つに対して、トリミングによって入力オフセット電圧が最小になるように補正されています。

2. ゼロドリフトアンプ

入力オフセット電圧を自動補正するオペアンプです。このオペアンプは入力オフセット電圧を自動的に補正する回路を内蔵し、動作中に入力オフセット電圧が最小になるように補正しています。

ゼロドリフトアンプのメリット

入力オフセット電圧の補正方法の違いにより、出力電圧特性に差が現れます。ゼロドリフトアンプは入力オフセット電圧を自動補正しているため、周囲温度やオペアンプの同相入力電圧が変化した場合でもその変化に影響を受けることなく、入力オフセット電圧を常に限りなく最小に補正することができます。

エイブリックは民生用、車載用ともに、ゼロドリフトオペアンプの製品ラインナップを取り揃えています。

 

4. 設計のお困りごとを解決!

ゼロドリフトアンプで構成するシャント抵抗式電流センサの設計事例の紹介

ここではゼロドリフトアンプS-19630Aで構成するシャント抵抗式電流センサを設計する事例を詳細に紹介します。

S-19630Aは、広動作範囲(4.0~36V)動作、低入力オフセット電圧±50μV max、低入力オフセット電圧ドリフト±25nV/℃のゼロドリフトオペアンプです。

S-19630Aを使用して電流センサを設計することで

  • 低入力オフセット電圧、低入力オフセット電圧ドリフトの特性により、温度や電源電圧などの変化に電流検出結果が影響を受けない非常に高精度な電流センサを実現することが可能です。
  • 広動作範囲で動作するため、5V系や12V系、24V系のシステムでダイレクトに動作させることが可能です。
  • 入力Rail-to-Railのため、ローサイド電流検出とハイサイド電流検出にも適用可能です。

1. ローサイド電流検出の設計例

ローサイド電流検出の設計例

2. ハイサイド電流検出の設計例

ハイサイド電流検出の設計例

 

5. お客様の設計業務に寄り添うエイブリックの開発サポートサービス

エイブリックのオペアンプ製品では、お客様の回路設計で発生するお困りごと、お悩みごと解決のために、お客様のそれぞれの開発ステップに応じて、様々なサービスを提供しております。また、各種の車載規格にも準拠しております。

開発フローにおけるエイブリックのサポートサービス

回路提案・定数設定サポートサービス

エイブリックは、回路設計についてのご相談を承っております。周辺部品と当社ICの最適な組合せをご提案し、試作回数、開発期間、開発費用の削減と、アプリケーションのコストパフォーマンス最適化に貢献致します。

回路シミュレーションサービス

回路設計をした後の実機評価で、発振してしまった!などの経験はありませんでしょうか?エイブリックは、発振安定性確認などの回路シミュレーションサービスを承っております。

回路シュミレーションサービス

PSpiceモデル提供サービス

エイブリックのゼロドリフトアンプ製品では、お客様における試作回数削減のために、PSpiceモデルを提供しております。下記のページから、ダウンロードすることができます。また、PSpiceモデルを用いたシミュレーション結果のご相談サービスも承っております。お気軽に販売窓口までお問い合わせ下さい。

評価基板提供サービス

評価基板

エイブリックは、お客様の実機評価をサポートするために、評価基板を提供しております。また、評価基板だけではなく、オペアンプICや周辺部品を実装した評価基板の提供も可能です。ご希望の場合はお気軽に販売窓口までお問い合わせ下さい。

 

6. エイブリックのおすすめゼロドリフトアンプ

エイブリックは民生用、車載用ともに製品ラインナップを取り揃え、高精度、高耐圧、Rail-to-Railの様々な電流検出用途におすすめなオペアンプをご用意しています。

そして、現在までお客様の幅広いアプリケーションにお使いいただいております。エイブリックのゼロドリフトアンプをぜひ一度お試しください。

S-19630A 高耐圧 高精度 ゼロドリフトアンプ
Rail-to-Rail

データシート

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S-19611A 低電圧動作 ゼロドリフトアンプ
Rail-to-Rail

データシート

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民生用オペアンプ
S-89630A 高耐圧 高精度 ゼロドリフトアンプ
Rail-to-Rail

データシート

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S-89713 低電圧動作 ゼロドリフトアンプ
Rail-to-Rail

データシート

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