高精度オペアンプを使用してシャント抵抗式電流センサを構成するメリットについて紹介します。

1. 電流センサの更なる高精度化が可能(理想的なゲインの設定が可能)

シャント抵抗で発生する電圧降下は微小であるため、アンプ(信号増幅回路)のゲインをできるだけ高く設定して電流検出の精度(測定分解能)を上げることが求められます。

シャント抵抗式電流センサにおいて理想的なゲイン設定とは、「検出電流の範囲とゲインにより決まるアンプの出力電圧の振幅範囲」と「それを測定するマイコンのADコンバータの測定レンジ」が一致するようにゲインを設定することです。
例えば検出電流の範囲が0~20Aのとき(下図①)、許容損失を考慮した適切なシャント抵抗の抵抗値は1mΩ程度です(下図②)。抵抗値を1mΩに設定したとき、シャント抵抗で発生する電圧降下は0~20mVです(下図③)。この時マイコンのADコンバータの測定レンジを4.5Vとした場合(下図④)、理想的なゲイン設定は4.5V/20mV=225倍(下図⑤)となります。

理想的なゲイン設定が可能

高精度オペアンプを用いることで、理想的なゲイン設定となるようにアンプを設計することができます。これにより、電流センサの高精度化が可能となり、それを搭載するシステムの高精度化や高機能化が可能となります。

 

2. 電流センサのノイズ対策設計が容易

シャント抵抗の電圧降下には、検出電流によって発生する電圧成分(信号成分)の他に、GND電圧や電源電圧の変動や外乱電波の影響に起因する本来の信号成分より高い周波数帯のノイズ電圧成分が重畳される場合があります。
そのような場合には、シャント抵抗の電圧降下を信号増幅するアンプにローパスフィルタの機能を併せ持たせることで、ノイズ電圧成分を除去しながら信号成分のみを増幅することが可能となります。

高精度オペアンプを用いることで、信号増幅機能とフィルタ機能を併せ持つアンプを設計することができます。これにより、ノイズ耐性の高い電流センサの実現が可能となり、それを搭載するシステムの高精度化や高機能化が可能となります。

設計例
以下の図のようなシャント抵抗式電流センサにおいて

  • 検出電流により発生する電圧成分(信号成分)の周波数: 100Hz
  • 重畳しているノイズ電圧成分の周波数: 1kHz
  • アンプのゲイン: 225倍

である場合、信号成分(100Hz)を通過域とするカットオフ周波数600Hz程度のローパスフィルタに機能を持たせるようにアンプを設計することで、ノイズ耐性の高い電流センサを実現することができます。

ノイズ対策設計例

① ゲイン225倍より
R1=R2=120Ω  R3=R4=27kΩ

② フィルタのカットオフ周波数600Hzより
C3=600/(2×π×R3)≒10nF

 


 

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