BLDCモータに最適なZCL®ホールIC

BLDCモータの効率が悪化する3つの要因

1. BLDCモータの効率が悪化する3つの要因

BLDCモータ (ブラシレスDCモータ) の回転制御において、ホールICはロータの回転位置を早く正確に検知することが求められます。
モータを効率良く回転させることで、騒音、発熱、消費電流の増大を低減することができます。
ここではBLDCモータの効率が悪化する要因をホールICの観点で説明します。

 

2. ホールICの位置

ロータ位置の検出には3つのホールICを使用します。ロータからの磁束を均一に検知する必要があるため、図のようにホールICを磁石から等距離に配置する必要があります。
製造工程での実装ばらつきなどにより、磁石とホールICの距離に差が生じるとホールICが受ける磁束に差が生じるため、図のようにホールICの出力信号がばらつきます。
ホールICからの出力信号がばらつくと、適切なタイミングでモータ制御ができなくなり、モータの効率が悪化します

ホールICの位置

 

3. 温度による変動

温度による変動

一般的に磁石から発する磁束は環境温度の変化により、大きくなったり小さくなったりします。
そのため、ホールICが受ける磁束が変化し、出力信号が速くなったり遅くなったりします。
環境温度の変化によりモータの制御タイミングがずれてしまい、モータの効率が悪化します。

これを防ぐためには、温度による磁石の磁束変化を考慮した複雑なモータ制御プログラムの構築、または温度変化による磁束の検出ばらつきが小さいホールICの選定が必要となります。

 

4. ホールICの磁気感度精度

ホールICを構成するホール素子、信号処理回路は電子部品です。大量に生産される電子部品は製造ばらつきによって電気的特性に個体差が生じます。
例えば、ホール素子の感度にばらつきがあると、磁界を検出する動作点 (BOP) / 復帰点 (BRP) がばらつきます。
これは回転するロータの位置検知のタイミングがばらつくことになり、モータの効率を低下する要因になります。
そのため、磁気感度精度が高いホールICの選定が必要となります。

 

5. 駆動方式の違い

駆動方式の違い - ホールICの出力タイミング駆動方式の違い - 矩形波、正弦波波形

120°通電方式の矩形波駆動は図のようにホールICの出力信号を検出し、ステータのコイルに流れる電流の方向を電気角60°ごとに切り替えます。
矩形波の印加電圧に対しコイルに流れる電流はインダクタンス成分によって遅れます。
この位相遅れが原因で、得られる効率には限界があります。
しかし、後述の正弦波駆動に比べ、矩形波駆動はコントローラ側に高い演算処理能力は求められません。低コスト化、高速回転の面で一般的に用いられている駆動方式です。

正弦波駆動は矩形波駆動に対して制御精度や効率、騒音の面で優れています。
図のように印加電圧を細かく制御することでモータ電流を正弦波状にする駆動方式です。印加電圧を細かくすることで、位相遅れが小さくなり、モータの効率を改善しています。
しかし、ロータの位置を正確に検出する必要があり、高分解能のエンコーダ、またはホールICの信号を複雑なプログラム制御に変換する演算処理ICが必要など、コストアップとなる課題もあります。

 

6. ロータ磁石の違い SPM (表面永久磁石型) とIPM (埋め込み永久磁石型)

ロータ磁石の違い - SPM、IPM

永久磁石を使ったロータは構造によって、SPMとIPMに分けられます。

SPMはロータ表面に永久磁石を張り付けた構造で、磁石によるマグネットトルクのみを利用します。
磁石がロータ表面に露出しているため、機械的強度の観点から高速回転が困難であり、また磁石に渦電流損が発生し減磁しやすいという特徴があり、効率を低下させる要因となっています。

一方、IPMはロータに永久磁石を埋め込んで配置することで、マグネットトルクに加え、磁気抵抗によるリラクタンストルクを利用することで、高トルク化、高効率化が可能となります。
IPMモータは磁石がロータ内部に埋め込まれているため、磁界が弱く波打つようになるので、ホールICでの検知に角度遅延が発生し効率が悪化します。
そのため、一般的にロータ回転位置の検出用に別途センサマグネットをつける必要があります。このため、モータの小型化や低コスト化に影響が生じます。

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