ホールIC(磁気センサ)

ZCLホールICとは?

ZCLホールIC

エイブリックのホールICのご紹介

1. ZCLホールICとは

ZCL(=Zero Crossing Latch)ホールICは、極性が変化する点(=ゼロクロスポイント)で出力信号を変化させる、世界初の検知方式を採用したラッチタイプのホールICです。ブラシレスDC(BLDC)モータ制御に特化したホールICで、磁束密度の変化に左右されない安定した検知を実現します。
BLDCモータに最適なZCL®ホールIC

ZCLホールICを使えば、温度変化・製造バラつきによるモータの効率低下を簡単に防ぐことができます。

 

2. ZCL検知の仕組み

従来のラッチタイプのホールICは、ホールICが受ける磁束密度の極性・強弱を検知し出力信号が切り替わります。  (詳しくはこちらで解説 ≫「ホールICとは?」)
これに対しZCLホールICは、ホールICが受ける磁束密度がS極からN極またはN極からS極に切り替わるタイミング、つまり極性が変化するタイミングを検知し出力信号が切り替わります。

従来のホールICとZCLホールICの違い

 

3. ZCLホールICでできること

ZCLホールICを使うと、BLDCモータ制御において次の3点を実現することができます。*1

 ①温度変化による効率の低下を防ぐ
 ②製造バラつきによる効率の低下を防ぐ
 ③なめらかな高速回転に必要なソフト制御の簡略化

① 温度変化による効率の低下を防ぐ

BLDCモータ内の位置センサとして使われるホールICの環境温度は、使用される環境やモータの負荷の変動により大きく変化します。特に、モータの負荷が大きくなると、コイルが発熱することで磁石の温度が上昇し、ホールICが受ける磁束密度が変化してしまいます。

従来の交番検知ホールICの出力タイミング<環境温度が変化した場合>

従来の検知方式のホールICを使用すると、磁石の温度上昇による磁束密度の変化によって出力が最適なタイミングから遅れ、それによりモータの効率が低下し、さらなる温度上昇を招く、という悪循環におちいることがあります。

ZCLホールICの出力タイミング<環境温度が変化した場合>これに対し、極性が変化するタイミングを検知するZCLホールICは、温度変化により磁石の特性が変化しても、最適なタイミングでの出力を維持できます。よって、ホールICの出力タイミングの遅れにより引き起こされる、さらなる効率低下を招くことはありません。

 

②製造バラつきによる効率の低下を防ぐ

BLDCモータのロータと磁気センサの距離は、様々な要因でばらつきが生じます。
ロータの加工精度、回転軸・ベアリング・ロータの組み立て精度、センサ基板の部品実装精度、などの製造時の要因に加え、モータが回転している最中の振動でも、磁石とセンサの距離は変動し得ます。
このため、設計上は充分な効率を達成できているはずのモータでも、実際に量産されたモータでは個体ごとに効率が変化したり、動作中の効率変動が発生したりすることがあります。

これに対し、極性が変化するタイミングを検知するZCLホールICであれば、磁石とセンサの距離が変化しても出力タイミングは変化しないため、種々の製造ばらつきがあったとしても効率の低下を防ぐことが出来ます。

従来のホールIC vs ZCLホールICの出力タイミングと効率<製造バラつき>ラつき

③ なめらかな高速回転に必要な制御ソフトの簡素化

モータがなめらかに高速回転するには、個々のモータでの正確な回転角度検知が不可欠です。
そのために、従来のモータの制御ソフトには、進角制御や遅角制御、さらには温度ごとのタイミングテーブルを備えた上で、製造バラつきを吸収し、調整するためのソフトウェアキャリブレーションを行っているものもあります。
しかし、さまざまな要因で変動し得る磁束密度でモータの回転検知を行うと、ソフト側でもあらゆる条件を検証し、細かい制御をおこなう必要が生じます。

ZCLホールICは、さまざまな外的要因で変動しない、極性が変化するタイミング を検知できるので、磁束密度の変動を考慮してソフトキャリブレーションする必要はありません。
より簡単なソフトを使用し、キャリブレーション レスで、なめらかな回転を実現することができます。ZCLホールICはキャリブレーションレスが可能

ZCLホールICは、モータの効率向上と設計工数の削減を同時に実現できる新世代のホールICです。

*1…モータの構造や制御方式により、効果の程度には差があります。

 

4. ZCLホールICを使うべきアプリケーション

モータ制御にホールICをこれからご検討されている方、もしくは既にホールICをお使いの方へ、ZCLホールICを使うべきケースをご紹介します。

次のような場合は、ZCLホールICを使用することで、これまでより簡単に理想のモータを実現できます。

  • 小型モータで、ロータ磁束が弱い場合
  • モータにセンサ用に検出用磁石を別途付けているが、外して簡略化を図りたい場合
  • モータのセンサをSIPタイプからSMDタイプに切り替えたい場合

ZCLホールICを使用しなくても、次のようなケースでは交番検知タイプのホールICで十分安定した制御が可能です。

  • モータのセンサが受ける磁束が十分に強く、多少磁束が変動しても制御に影響がない場合
  • モータのセンサ信号は初期位置確定と回転確認のみの使用で、センサ信号に頼らず制御している場合

ホールICをお探しの場合は、ぜひエイブリックのホールICをご検討ください。
モータ制御には、高速・高耐圧に対応したホールICが最適です。

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