1. カウンタICとは?

カウンタICは、外部から入力されたクロックをカウントするICです。
エイブリックのカウンタICがカウントしたデータには、I2C-BUSインターフェースを経由してアクセスすることが可能です。
I2C-BUSインターフェースの採用は、カウンタICの小型パッケージ化を実現しており、周辺回路の簡素化に貢献します。

カウンタICとは

 

2. エイブリック製品のつよみ

エイブリックのカウンタICのつよみは、クロックを正確にカウントできることです。
クロックを正確にカウントできるのは、以下の理由があるためです。

アナログクオーツ用ICとリアルタイムクロックの開発知見の応用

エイブリックは、アナログクオーツ用ICやリアルタイムクロックを長年開発してきた経験から、高信頼性の電子回路を設計するための知見を得てきました。この知見は、要素技術としてエイブリックのカウンタICの回路設計に活かされています。

エイブリックの歴史

代表的な要素技術 内容
パワーオン検出回路 カウンタICへ電源を投入時に内部のレジスタをイニシャライズ(初期化)し、電源投入後の正確な動作に貢献します。
シュミットトリガ回路 クロックの立上り、立下りを正しく認識し、正確なクロックのカウントに貢献します。
ノイズサプレッション回路 50 nsecのパルス幅のノイズを除去し、 I2C上の通信エラーを防止することで、 正確なカウントデータの読み取りに貢献します。
ハードウェアで実現されたICが正確なカウントを実現

ハードウェアで実現されたエイブリックのカウンタICは、マイクロコントローラ(MCU)に内蔵されているソフトウェア制御タイプのカウンタと違い、暴走、動作停止を起こしません。

エイブリックのタイマICは世界中へ1億7500万個の出荷実績 (2022年度調べ)

エイブリックは、カウンタIC、リアルタイムクロックとアナログクオーツ用ICを年間1億7500万個出荷しており、これまでお客様より高い信頼を得ています。

 

3. カウンタICの特徴

小型パッケージ(TMSOP-8)によりシステムの小型化に貢献

システムを小型化することで、次のようなメリットを得られます。

  • ・ポータブル機器の軽量化と持ち運びやすさの向上
  • ・屋外IoT機器の設置の制約の緩和
  • ・機器の筐体の空いたスペースの有効活用
  • ・小型化にすることにより物理的に外界に接する面が減るため、外来電磁波ノイズ耐性の向上
  • ・大きなシステムに組み込む際の制約の緩和

1. 2線式I2Cインターフェースの採用による省出力ピン仕様

2線式I2Cインターフェースの採用による省出力ピン仕様

2. 小型パッケージの採用

小型パッケージの採用

3. 省配線でシステムの小型化に貢献

省配線でシステムの小型化に貢献

最大24bit(16,777,215)のアップカウントでMCUの補完機能として貢献

汎用のマイクロコントローラ(MCU)で使えるカウンタ機能は、多くのものが8~16bitです。
これに対してエイブリックのカウンタICは、24bit(LOOP機能を使えば25bit)までカウントできます。すなわち、エイブリックのカウンタICは、カウント値の比較を0.1ppm以下の誤差精度で行うことができるのです。

生体中のバクテリアの量や空気中の粒子の量は、8~16bitのカウンタ(65,536カウント)の最大値よりも多いです。
エイブリックのカウンタICを単独、もしくはMCUのカウンタと組み合わせて使用することで、これらの量を1000万分の1以下の精度で計測することができるようになります。

MCUとの親和性の良さと周辺回路の簡素化に貢献

エイブリックのカウンタICは、I2Cインターフェースの採用によりさまざまなマイクロコントローラ(MCU)に接続可能です。

多くのMCUは、I2Cインターフェースを搭載しています。このため、エイブリックのカウンタICは、さまざまなMCUに接続できます。 このことにより、お客様のアプリケーションに最適なMCUを選択でき、そのMCUにエイブリックのカウンタICを接続できます。 I2CインターフェースはSCLとSDAの2線式のインターフェースであるため、配線と周辺部品が簡素化され、システムを小型化することができます。

エイブリックのカウンタICを試してみる

 

4. カウンタICのご提案

ご使用例
  • タイマとカウンタの両方を使用する使い方
  • 低消費電力システムを実現するための使い方
  • MCUのカウンタの拡張機能としての使い方
  • MCUに複数のカウンタを接続する使い方
タイマとカウンタの両方を使用する使い方

マイクロコントローラ(MCU)のタイマとエイブリックのカウンタICの使用で実現します。
MCUは、カウンタ機能かタイマ機能のいずれかを選択する必要があります。
MCUでタイマ機能を選択し、あわせてエイブリックのカウンタを使用することで、炊飯器などでの水量やお米の量のカウンタICでの計量と炊飯タイマ設定、もしくは水道管の時間当たりの流量の測定ができるようになります。

タイマとカウンタの両方を使用する使い方

低消費電力システムを実現するための使い方

マイクロコントローラ(MCU)を間欠動作させて消費電流の少ないエイブリックのカウンタICをスタンドアローンで動作させます。
MCUの間欠動作はバッテリーの消耗を抑えるため、バッテリー駆動のシステムに最適です。

低消費電力システムを実現するための使い方

MCUのカウンタの拡張機能としての使い方

カウンタICのLOOP端子をマイクロコントローラ(MCU)のカウンタに接続して24bit以上を実現します。
MCUを24bit以上に拡張することは、カウントの1ビットの分解能を向上させ、0.1ppmよりもさらに高精度でのカウント量の比較が可能になります。
例えば、歯垢1ミリグラムには、約300種類、約1億個の細菌が含まれていると言われています(厚生労働省調べ)。
これらを微生物ディテクタで検出し、カウンタICで全てカウントするためには、24bit以上の分解能が必要になります。

MCUのカウンタの拡張機能としての使い方

MCUに複数のカウンタを接続する使い方

マルチプレクサ(MUX)の使用により、複数の対象物をカウントします。
カウンタを複数接続することで、独立した2つ以上のイベントを同時にカウントできます。
x,y,z軸にそれぞれモータとホールICを接続して、ホールICからの出力をカウンタICで検出することにより、モーションコントロールを実現できます。
さらに、複数のカウンタを接続し、カウンタからの出力に対してマイクロコントローラ(MCU)で四則演算を行うことで、独立したイベント数の合計や差分を算出することもできます。

MCUに複数のカウンタを接続する使い方

アプリケーション例

エイブリックのカウンタIC アプリケーション例

*車載アプリケーションについては、車載品質適合品をご使用ください。
民生機器
アプリケーション例 カウンタICの使い方
PCボード上のアプリケーション PC上で、通信切断などのイベントのカウント、メモリへのアクセス回数をカウンタICでカウントする。
鍵(キー)などの認証 あるものが本物かを認証する際、ユニークなクロックをカウンタICでカウントさせる。そして、そのものの認証の際、カウンタICのレジスタのデータとデータベースのデータを比較して、本物かどうかを認証する。
RFIDリーダー
トランシーバー
電波の周波数をカウンタICでカウントする。
ディスペンサー 内容量が消費されるたびにセンサで検知して、センサから送られてくるパルスをクロックとしてカウンタICでカウントし、内容量の残量を検知する。
コーヒーメーカー コーヒーメーカーの使用数をカウンタICでカウントして消耗品のメンテナンス時期を知らせる。 杯数をカウンタICでカウントして表示する。 湯量を流量センサで検知して、流量センサが発生するパルスをクロックとしてカウンタICでカウントする。
炊飯器 炊飯器のお米の量や水の量をセンサで検知してカウンタICでカウントする。
産業機器
アプリケーション例 カウンタICの使い方
ファンモータの風量調整 ファンモータの回転数を検知して、風量を調整する。具体的には、ホールICを使用してモータ1回転で電気的パルスを発生させ、そのパルスをクロックとしてカウンタICでカウントして回転数を検知する。
農業の自動化 灌漑施設の水量の自動調整に使える。灌漑施設の水道管に、水が流れるとパルスを発生するセンサを取り付けておき、そのパルスをクロックとしてカウンタICでカウントする。
家畜の給餌回数をカウンタICでカウントし、家畜の健康状態を保つ。
穀物などの生育状態をセンサやカメラなどで検知して、生育状態ごとにカウンタICでカウントして生育状態を管理する。
害虫の捕獲数量をカウンタICでカウントする。
デジタルカウンタ クロックをカウンタICでカウントして表示する。
カプセル内視鏡システム カプセル内視鏡システムで消化器官内の写真を撮った回数をカウンタICでカウントする。
Power SCADA
(Power Supervisory Control
and Data Acquisition)
システム内の電力量計測、発電量計測用途に使用される。電力計は、パルス発生器が組み込まれており、そのパルスをカウンタICでカウントすることで、電力量を計測する。
さらに、ブレーカーの作動や、システム異常などのイベントをカウンタICでカウントする。
細菌カウンタ
粒子カウンタ
バイオセンサから送られてくるパルスをクロックとしてカウンタICでカウントし、細菌の数を検知する。
粒子センサから送られてくるパルスをクロックとしてカウンタICでカウントし、粒子の数を検知する。
放射線測定
(ガイガーカウンタ)
ガイガーミュラー管から発生されるパルスをクロックとしてカウンタICでカウントし、放射線量を測定する。
ドローン制御 ドローンのプロペラの回転数を検知して、プロペラの回転数を制御してドローンの姿勢を制御する。具体的には、ホールICを使用してモータ1回転で電気的パルスを発生させ、そのパルスをクロックとしてカウンタICでカウントしてプロペラの回転数を検知する。さらに、プロペラの向きの制御のためのx,y,zの3軸のモータの回転数をホールICで検知して、ホールICから出力されるパルスをクロックとしてカウンタICでカウントすることで、プロペラの向きを制御してドローンの姿勢を制御する。
3Dプリンタ制御
ロボット制御
カウンタICをx,y,zの3軸用に3つ使用する。それぞれのカウンタICは、x,y,z軸のトラッキングを担う。x,y,z軸を制御するモータの回転数をホールICで検出して、そのホールICから出力されるパルスをクロックとしてx,y,z軸のカウンタICでカウントしてx,y,zの空間軸で位置を検知する。このことにより、3Dプリンタのモーションコントロールが可能になる。
天気観測 晴れ、曇り、雨などの天気イベント、温度、湿度測定回数をカウンタICでカウントする。さらに、カウンタICは、サンプリングレートを調整することにも使用される。
災害カウンタ 河川の水位などを検知して、洪水などのイベントをカウンタICでカウントする。
センサを使用して、火災やガス漏れイベントをカウンタICでカウントする。
魚の自動尾数カウントシステム カメラやセンサで魚を検知して、尾数をカウンタICでカウントする。
コワーキングスペースの混雑度検知
セキュリティーソリューション
サーモセンサで人を検知して、コワーキングスペースの混雑度を検知するために人をカウンタICでカウントする。このような使い方は、セキュリティーソリューションにも応用できる。
マネーカウンタ 紙幣、貨幣の数をカウンタICでカウントする。
車載機器
アプリケーション例 カウンタICの使い方
ECU(エンジンコントロールユニット)* エンジンの噴射量を制御する、インジェクターの開閉を制御する、トランスミッションを制御する、故障回数をカウントするなどの目的で、カウンタICを使用する。
車載ミリ波レーダー* 運転イベント、交通イベントをカウンタICでカウントする。
車載デジタルビデオレコーダー* 事故イベント、交通イベント、運転情報をカウンタICでカウントする。
*車載アプリケーションについては、車載品質適合品をご使用ください。

 

5. エイブリックのカウンタICを試してみる

S-35770 一般用途
2ワイヤ (I2C-bus)

データシート

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S-35770 A 車載用
2ワイヤ (I2C-bus)

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