1. ワイヤレス給電の国際標準規格「Qi」の認証とは?

Qi認証は、Qiワイヤレス充電規格の業界団体であるWPC (Wireless Power Consortium, ワイヤレスパワーコンソーシアム) によって実施されています。これに合格すれば、製品がQiシステム内の他の製品と互換性があり、一貫した品質を保証できることを意味します。
そのため、Qi認証品とうたい、製品にQiマークを表示するためには、この認証に合格していなければなりません。
Qi認証を取らずに製品化すると、給電トラブルが発生する可能性がある製品としてみなされてしまうことが危惧されます。

一方、ワイヤレス給電はQiに準拠していなくても独自のシステムで給電・受電が成り立つ方式もあります。この場合、相互認証や特別な申請は必要ありません。エイブリックのワイヤレス給電がその一例になります。Qiのシステムとは仕様が異なり、独自のプロトコルで給電・受電が完結するシステムなので、Qi認証とは無関係となります。サードパーティー製品との接続が不要なら、大がかりなQi認証品ではなく、簡単にワイヤレス給電を実現できるエイブリック方式はいかがでしょうか? これは設計者の時間と手間を軽減しトータルコストを抑えるなど大きなメリットになると考えています。

 

2. 電波法

ワイヤレス給電は高周波を利用した設備のため、電波法に違反しないか等が気になる方がいらっしゃると思います。
結論から言うと、エイブリックのワイヤレス給電のシステムは電波法に関する無線局設置や技適 (技術基準適合証明) 等の特別な申請は不要です。
一般的に電磁誘導を使っている非接触充電器等の場合、電波法では「高周波利用設備」として位置付けられます。高周波利用設備は、エミッションと言われる不要輻射が混信や雑音の原因となり、他の無線通信に妨害を与える可能性があることから「設置許可」を受ける必要があります。
しかし例外があり、50W以下で動作する機器に関しては「設置許可」の申請は不要とされています。エイブリックのワイヤレス給電のシステムは電力的に1W以下なのでこれに準じています。

3. EMC

EMC、EMI、EMS

EMCとはElectromagnetic Compatibilityの頭文字で、JISでは電磁両立性と定義されています。
EMCは、電波EMI (Electromagnetic interference : エミッション) とEMS (Electromagnetic susceptibility : イミュニティ) に分類され、製品ごとに販売する国の電波法に適合することが義務付けられています。そのため、上述したQi認証取得のためや電波法に関する特別な申請とは別に製品としてEMC試験をクリアする必要があります。

EMI

EMI (Electromagnetic interference : エミッション) とは「電気機器等が周囲に不要な電磁ノイズを放出する」ことです。
電気機器がその周辺に放出した電磁ノイズで周辺の電気機器に影響を与え、本来の性能を低下させ、障害が起きることがあります。そのため、製品としてのEMI対策が必要になります。

EMS

EMS (Electromagnetic Susceptibility : イミュニティ) とは「電気機器等がさまざまな外的要因 (ノイズ) による性能低下を起こさずに作動する能力」のことです。
電気機器がその周辺にあるさまざまな機器から影響を受けて、本来の性能を発揮できない場合があります。そのため、製品としてのEMS対策が必要となります。