1. 車載電圧監視のニーズ
先進運転支援システムや自動運転システムの登場により、車両に求められる安全性は高まっております。
特に自動運転では故障発生時でも、システムを安全に停止/継続を行うことが必要になります。それはまず故障の発生を検知することから始まります。
電気回路上で異常を検知する為の安全機構として、下記のようなものが考えられます。
-電圧監視
-電流監視
-接続監視 など
次項からは安全機構としての電圧監視について説明します。
2. 従来の電源電圧監視
右図は車載ECUの回路を模したブロック図になります。電圧監視を行う箇所としてしては下記が考えられます。
-ECUに入力される電圧監視
低電圧電圧監視ICで監視
抵抗分割を行いマイコンのADコンバータで監視
-LDOレギュレータやDC-DCコンバータの出力電圧監視
低電圧電圧監視ICで監視
どちらの電圧監視も主に電圧低下の監視が必要なことが主流でしたが、最近は安全性向上の為、電圧上昇の監視要求も高まっています。
従来のECUに入力される電圧監視方法は多くの課題があります。
-外付け部品が多く、基板面積が増大する
-分圧抵抗に電流が流れる為、暗電流が増加する
-外付け部品のばらつきにより、監視精度が悪化する
これらの課題を解決するのが高耐圧バッテリーモニタリングICになります。
3. 高耐圧バッテリーモニタリングICのメリット
高耐圧バッテリーモニタリングICを使うメリットで分圧抵抗が不要になります。それにより、暗電流増加と面積増大を解決する事が可能です。
エイブリックの高耐圧バッテリーモニタリングICは、更なるメリットを提供します。
4. エイブリックの高耐圧バッテリーモニタリングICのご紹介
任意に閾値電圧設定が可能! S-19110シリーズ
エイブリックのバッテリーモニタリングICのS-19110を紹介します。
一番の特徴は、"検出電圧"と"解除電圧"をそれぞれ独立して設定が可能なことです。 これによりお客様のシステムに最適な電圧監視ICとなります。
更に電源端子(VDD)とGND端子(VSS)を隣接しない配置にしているため、2端子間の隣接端子ショートの発生を防ぐことで安全性向上に貢献します。当然、監視接続(SENSE)端子も高耐圧の為、分圧抵抗なしで12Vバッテリーラインに接続可能です。
"電源分圧出力機能付き " S-191L/Nシリーズ
次にエイブリックのバッテリーモニタリングICのS-191L/Nを紹介します。
S-191L/Nは、電源分圧出力機能を搭載しているため、更なる安全性向上が可能です。
電源分圧出力機能とは、マイコンのADコンバータでの電圧監視を補助する機能になります。具体的には、高電圧監視の為に外付け部品で構成していた電圧の分圧抵抗、消費電流を減らすためのスイッチなどをIC内部に取り込みました。これにより外付け部品不要でマイコンのADコンバータに入力可能な電圧を生成できます。
更なる特徴として、監視接続(SENSE)端子への負電圧印加が可能です。監視接続(SENSE)端子とVSS端子間には逆接保護ダイオードが接続されています。その為、負電圧印加試験が必要なシステムでも逆流保護ダイオード前に監視接続(SENSE)端子を接続することが可能となり、監視精度悪化の原因となる逆流保護ダイオードのばらつきを排除することが可能です。
S-191L/Nの製品詳細については下記リンク先をご参照下さい。
定格45V、高電圧監視に最適なバッテリーモニタリングIC
5~10V検出 | Webshop (サンプル購入) |
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3.6~4.95V検出 | Webshop (サンプル購入) |
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電源分圧出力機能付き | Webshop (サンプル購入) | |
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S-191L/N Aシリーズ (125℃動作) |
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S-191L/N Hシリーズ (105℃動作) |