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エイブリック社長「高付加価値アナログ製品で新たな成長軌道へ 欧州米ビジネスにも手応え」EE Times Japan掲載記事のご紹介

エレクトロニクスメディア「EE Times Japan」へ2026年1月14日付にて掲載されたエイブリック代表取締役社長・田中誠司の記事を詳しくご紹介します。

高付加価値アナログ製品で新たな成長軌道へ
欧州米ビジネスにも手応え

高付加価値なアナログ半導体を開発し、グローバルニッチトップを目指すエイブリック。この数年間、事業譲受や組織刷新など、ビジネス拡大に向けた土台作りを進めてきた。2026年はこうした取り組みを成長軌道に乗せるとともに、欧米でのビジネス拡大も加速させる。同社 代表取締役 社長執行役員である田中誠司氏に戦略を聞いた。

 営業利益率30%超の高収益体質を堅持、売上高も2桁成長へ

―2025年を振り返っていかがですか。

手に持っているのはソシオネクストから譲受したハンドヘルド型超音波診断装置「viewphii」のデモ機

田中誠司氏 市況が厳しい中、2023年度、2024年度と2年連続で売上高がプラス成長だった。2025年度も2023年度比で10%以上の売上増になる見込みだ。営業利益率は30%以上を維持しており、この収益は、継続的にお客様にとって価値のある製品を供給するための投資に活用していく。

―好調の要因は何でしょうか。

田中氏 高付加価値製品によってグローバルニッチトップを目指すという戦略が奏功している。ターゲット市場の一つであるスマートフォン市場は変動もあるが、その中でも比較的安定した需要もあり、また、医療関係の事業も堅調だ。当社製品の応用先が、非常に裾野が広いことも好調の要因だろう。特定用途に依存をせず、幅広い応用領域で採用されている点が事業安定の支えになっている。

 ―2026年の市況をどうみていますか。

田中氏 産業機器はようやく適正な在庫水準に戻ってきたと聞く。アナログ半導体市場については、WSTS(世界半導体市場統計)予測で前年比7.5%の成長が見込まれており、ここから回復基調に乗っていくのではないか。ただし、現時点で市場全体を一気に押し上げるアプリケーションは明確ではなく、本格的な回復局面はこれからで、緩やかに立ち上がるとみている。

 

車載用製品群を拡充へ 「CLEAN-Boost」はデータセンタ採用に期待

―そうした中で、2026年以降の中長期の事業戦略についてはいかがでしょうか。

田中氏 アナログ半導体や、アナログ半導体にデジタル周辺回路を取り込んだ“アナデジ集積”技術を活用した高付加価値製品で高収益化を図りつつ、グローバルニッチトップを狙うという基本戦略は変わらない。これに、生産能力の最適化や開発の効率化、人材への投資を組み合わせ、お客様の次世代製品開発への貢献を目指す。

―具体的な製品戦略をお聞かせください。

リチウムイオン電池保護IC、車載電源、医療・高圧、磁気センサ、「CLEAN-Boost*)」技術を用いたバッテリレス漏水センサの5つに注力する。
*)「CLEAN-Boost」はエイブリック株式会社の登録商標です。

 当面、売上高の中で大きな比率を占めるリチウムイオン電池保護ICについては、車載用二次電池監視ICや大規模蓄電池向けの監視アナログフロントエンドICに力を入れる。後者は開発中で、間もなくサンプル供給を開始する。

 車載電源では、48V補機バッテリ向けのラインアップを拡充する。2025年9月には、耐圧80VのLDOリニアレギュレータICとして、動作時消費電流が2.0μAと低い「S-19230」を発表した。この分野は海外のアナログ半導体メーカーが先行しているが、日本国産品としてエイブリックも積極的に製品ラインアップの拡充に取り組む。市場規模が大きい大電流の車載用DC-DCコンバータICにも注力し、こちらも製品ラインアップを増やして面展開をしていく。


新製品開発戦略の一部 提供:エイブリック

磁気センサでは、同じく9月にリリースした車載用デュアルホールラッチICで強い引き合いがある。1チップで水平、垂直の2軸を検出できる製品で応用分野も広く、これから期待できる技術だ。

―医療については、2024年にソシオネクストからメディカル関連事業が譲渡されました。

田中氏 無線ハンドヘルド型超音波診断装置および送受信IC、高度な受信技術を譲受した。当社既存の送信IC・高耐圧スイッチに、受信技術が加わり、送受信のソリューションを提供できる体制が整った。第2世代品となる、より低消費電力、高解像度の超音波診断装置の量産を開始しており、まさにこれから成長していく事業だ。

 

―欧米でのビジネス拡大にも攻勢をかけています。

田中氏 欧州の車載ビジネスでは販売代理店体制を拡充し、フィールドアプリケーションエンジニアなどのリソース投入を強化した結果、新たな案件につながり始めている。欧州市場で重要視される機能安全や省電力化といった領域でも、当社のアナログ半導体がもつ高精度・低消費電力技術が貢献できる余地は大きい。欧州の自動車市場が回復すれば、売り上げにつながっていくとみている。

米国については、車載以外でも医療・産業機器等の分野で既に一定のビジネス規模があり、引き続き次世代アプリケーションへの展開に取り組んでいる。特に、技術サポートについては“距離を感じさせない対応”と高い評価をいただいている。こうした強みを生かして、米国のニーズにも応えていきたい。

 また、足がかりの一つとして、日本で展開しているCLEAN-Boost技術を用いたバッテリレス漏水センサの欧米販売を開始した。新たに通信距離を100~200m程度まで延伸(従来比約2倍)し、最高動作温度も60℃から85℃へ引き上げた。バッテリレスで無線通信でき、感度が高い点も評価されている。
 特に期待を寄せているのがデータセンタ領域だ。AIサーバーの普及に伴い水冷式冷却システムの導入が進んでおり、水漏れ対策への需要が急激に高まっている。加えて、歴史ある建造物が多い欧州では、既存設備を活かしながら最新技術を導入する「レトロフィット(後付け改修)」の需要も高い。配線工事が不要で、既存設備に後付けできる本製品は、水冷化が進むデータセンタはもちろん、文化的な建物やインフラの保全、稼働を止められない工場のスマート化にも最適だ。貴重な資産を守りながら、廃棄電池削減による環境貢献も同時に果たすソリューションとして普及させていきたい。

バッテリレス漏水センサ用途例 提供:エイブリック

新組織を中心に成長軌道へ 「チャレンジングな業績目標」

―設備投資についてはいかがでしょうか。

田中氏 ミネベアミツミグループ内の既存ファブを有効活用し、製品を見極めアウトソースも活用していく。同グループで半導体を手掛ける3社で、製造効率を改善する取り組みも始まっている。グループ内に優れたファブがあるので、うまく活用しながら高品質かつ効率的な製造につなげる。

 2024年に、中長期戦略実現に向けて組織を刷新し、製品開発力を高める体制を強化、2026年からは成果を出していくフェーズに入る。新組織を中心に成長戦略を軌道に乗せることが、2026年の中核となる方針だ。業績面でもチャレンジングな目標を立てている。そのためにジョブ型人事制度も導入し、会社全体のパフォーマンスを向上させる。アナログ半導体とソフトウェアの両面で人材を強化し、ビジネスや技術が「1+1=3」となるような事業譲受も視野に入れながら、さらなるビジネス拡大を目指していく。

 本記事は2026年1月14日にEE Times Japanへ掲載されたものです。

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