分圧抵抗不要! スイッチ不要! 計算不要!
~かんたんに高精度バッテリ監視「電源分圧出力」~
電池で動作する製品では、バッテリの残量を確認するためにバッテリ電圧を監視したい場合があります。その為には、分圧抵抗を用いて電源電圧を分圧して、マイコンのADコンバータに入力する手法が一般的に用いられます。分圧抵抗を用いて電源電圧を分圧するのは、監視対象であるバッテリ電圧が使用するマイコンの耐圧を超えることを防ぐため必要な手法になります。また、バッテリの消費を抑えるため、分圧抵抗に流れる電流をトランジスタを用いて制御する場合もあります。(下図赤塗り参照)
必要な機能を実現しようとすると部品の増加に伴って部品選択や選定の煩わしさがどんどん増していきます。
更に、分圧抵抗の抵抗値を計算するときには、接続されるA/Dコンバータの内部インピーダンスを考慮する必要があります。それを考慮せずに抵抗値を決定するとA/Dコンバータに入力される電圧にズレが発生して、バッテリ監視を正確に行うことができません。その上、抵抗値によってはスイッチとして使用されているトランジスタのオン抵抗の影響を受ける可能性もあります。また、部品点数が増えることで、実装基板のサイズを大きくする必要もでてきます。
上述の”部品選定の煩わしさ”や“部品点数の過度な増加” や”実装基板サイズの増大”といった問題を解決するのが”電源分圧出力”付きICになります。
”電源分圧出力”付きICとは、バッテリ電圧を分圧してA/Dコンバータに入力可能な電圧を出力する機能を持ったICのことです。(下図赤塗り参照)
”電源分圧出力”付きICには、電源電圧を分圧する為の分圧抵抗だけでなく、出力用のアナログバッファと出力をON/OFFするスイッチが内蔵されています。
出力用のアナログバッファを介して分圧した電圧が出力されるので、マイコンのA/Dコンバータの内部インピーダンスを気にする必要がありません。
またスイッチが内蔵されているため、出力のON/OFFを切り替えることで低消費電流の電圧監視が可能です。
”電源分圧出力”付きICは、抵抗の計算や選定の煩わしさを解決します。
また、分割抵抗、出力用のアナログバッファ、出力をON/OFFするスイッチが一体化されているため、部品点数の過度な増加を発生させず実装基板の小型化にも貢献します。
エイブリックは、分圧抵抗を用いて電源電圧を分圧する場合に発生する問題を解決する”電源分圧出力”機能を搭載した電源ICを開発・製造しています。
エイブリックの電源分圧出力付き 超高効率降圧型スイッチングレギュレータ「S-85S1Pシリーズ」が、電子デバイス産業新聞の主催する「半導体・オブ・ザ・イヤー2018」の半導体デバイス部門で優秀賞を受賞しました。