コラム Vol.2「S-85S1A」の機能、アドバンテージの紹介

動画ダイジェスト(再生時間: 1分5秒)

キーフレーム11. 日常生活に欠かせなくなったウェアラブル/IoT機器。技術は進歩しても、バッテリーがどれだけ長持ちするかが最大の課題となっています。

キーフレーム22. いま注目されているパワーデバイスによるソリューション、エイブリックのスイッチングレギュレータ S-85S1A シリーズです。

キーフレーム33. S-85S1A シリーズは、超低消費電流のため、従来品と比較した場合、 はるかに上回る 90.5%の超高効率を達成し、

キーフレーム44. 最大 2.5 倍のバッテリー寿命を実現しました。

キーフレーム55. 「もっと使いやすく、使えるものに。」 エイブリックは、快適なウェアラブル/IoT機器の発展に貢献します。

自己消費電流260nAを達成──
超高効率スイッチングレギュレータ「S-85S1Aシリーズ」のインパクト

「S-85S1A」は、エイブリックが新たに開発した超高効率スイッチングレギュレータ(DC-DCコンバータ)です。COT(コンスタントオンタイム)制御やローパワー技術といった革新技術によって、自己消費電流260nA(ナノアンペア)を実現。ウェアラブルデバイスのバッテリ駆動時間を大幅に伸ばす製品として、注目と期待を集めています。

従来レギュレータの限界を超える

これまでのスイッチングレギュレータは、自己消費電流が「マイクロアンペアオーダー」でした。そのため、出力電流がマイクロアンペアオーダーになる領域では自己消費電流が外部負荷によるそれに影響を及ぼす格好となり、電力の消費効率を大幅に低下させてきました。 ウェアラブルデバイスや小型のIoTデバイスにおいては、機器の容積が限られるためそこに大型の電池を搭載させることはできません。したがって、バッテリの駆動時間を伸ばすためには全体としての消費電力を抑える以外に方法はなく、それゆえに、プロセッサや表示デバイス、無線デバイスなどの省電力化がさかんに図られてきたと言えます。 ところが、ウェアラブルデバイスのプロセッサや表示デバイス、無線デバイスは常時稼働しているわけではなく、相応の待機時間があるのが通常です。しかも、ウェアラブルデバイスは、そもそもが「超低消費電力」のデバイスです。そうしたデバイスに従来型のスイッチングレギュレータを適用すると、レギュレータ自体の電力消費が相対的に大きくなります。その結果、省電力設計のプロセッサや表示デバイス、無線デバイスをいくら用いても、バッテリの駆動時間がなかなか伸びないといった問題が発生してきたのです。また場合によっては、一般的なシリーズレギュレータを用いたほうが、消費電力が少なくて済むといったケースも散見されてきました。 エイブリックの「S-85S1A」は、こうした問題を抜本的に解決した新タイプのスイッチングレギュレータです。 その自己消費電流は、業界トップクラスの「260nA」。1mA(ミリアンペア)以下の軽負荷動作時における効率を飛躍的に向上させており、例えば、100μA(マイクロアンペア)負荷においては、90.5%の効率性を実現しています。これによって、ウェアラブルデバイスの設計・開発者は、一般的なシリーズレギュレータを使った場合に比べ、バッテリ駆動時間を最大2.5倍に伸長させることが可能になります。

また、自己消費電流を「ナノアンペアオーダー」に抑えたスイッチングレギュレータは他社からも販売されていますが、そうした競合製品に比べてもS-85S1Aは、バッテリ駆動時間において「プラス15~30%の改善」が期待できるのです。

高速な応答性と省スペース性も兼ね備える

S-85S1Aの特徴は、効率性だけにとどまりません。自己消費電流260nAを実現するために開発された制御トポロジとCOT(コンスタントオンタイム)制御は、負荷変動に対する高速な過渡応答も実現しています。この高速応答は、負荷変動時に発生しがちな電圧低下を抑えることにもつながり、デバイスの安定動作にも大きく寄与します。

SNT-6Aまた、S-85S1Aはパッケージタイプとして、各種保護回路を搭載しつつ業界最小クラスを実現した超小型パッケージ「SNT-6A」を採用しています。具体的なサイズは、単体で「1.8mm×1.57mm×0.5mm」。周辺回路を含め「4.5mm×2.0mm(標準実装例)」の基板に収納でき、容積がきわめて小さいウェアラブデバイスへの組み込みも容易です。しかも、既存の基板面積をほぼそのままに従来レギュレータとS-85S1Aとの使い分けが可能なため、S-85S1Aを用いたモデルと他のモデルを、作り分けるといった商品戦略も柔軟に展開することが可能となります。

ウェアラブルデバイスは、スマートグラス、スマートウォッチなどから、ヒアラブルへと進化し続けています。 これらの普及を促進していくには、バッテリーの持ち、高速応答、小型化のどれもが重要な課題です。 エイブリックは、S-85S1Aの技術がウェアラブル/IoT機器の発展に貢献できるよう期待しております。

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